マー・ガンガー 死ぬのはこわいだろうか
宮内 喜美子 著
沖 鳳亨/若林裕子 写真

定価(本体1800円+税)
■四六変型判上製/132頁
■カラー写真13点(見開き7点) モノクロ写真5点
■ISBN 4-8397-0127-x C0092

生と死のあわいを流れる悠久の大河ガンジス
詩人はそのほとりに寄り添って、何を想ったのだろうか。聖地ベナレスに群がる人々の願いの中に、詩人の心の底流に兆すものの中に、遥かなるものが見えてくる。濁流に沐浴しながら死を待つ人々の、迫力ある写真映像をあしらったポエム&フォト。












 

マー・ガンガー


うずになる

うずが集まり

モアレになる

そして レースになる

黒い燃えさしのようなものが

赤潮状に流れてゆく

サンダルが流れてゆく

ホテイアオイに藁やごみがからまり

まだ死体は流れてゆかないけれど

人のあらゆる痕跡が流れてゆく

自然の痕跡が流れてゆく


ひとの声が

祈りが 真言(マントラ)

怒鳴り声が

リスの強く鳴く声が

うずになり

モアレになり

マー・ガンガーの上を流れてゆく



昨日降った雨の大量の集積を呑んで

人間のすべての営みを豪快に洗い浄めるように

大河は

流れてゆく






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